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首、肩、膝、手、足

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膝、足

首・頚の痛み

首

人間の首は7つの頚椎が積みかさなって重たい頭を支えて左右前後に自由に動く構造になっています。
これは利点である半面弱点にもなり、頭を自由に動かせる為には首の骨(頚椎)は細く、筋肉も少なくなければなりません。その為に首をめぐるトラブルは非常に多く、次のような疾患があります。

首

@変形性頚椎症

頚椎が加齢や、ムチ打ち事故のような外傷が引き金となり軟骨ができたり、変形したりすることにより 神経の通り道である椎間孔を狭め、肩こり、手のしびれ、首の痛み、眼精疲労等の原因となります。
治療としては患部を温め、マッサージ、牽引、カイロ矯正が必要です。

首 首 首
椎間孔圧迫テスト 椎間孔牽引

Aムチ打ち症(交通災害によるもの)

意外と頑固な痛み、手のしびれが続き回復が遅れるケースが多いものです。7つの頚椎を支える靭帯の損傷と頚椎のズレをもつ場合がほとんどであり,上述@と同様の治療が必要と思います。
自賠責保険にて対応できます。

首
首のマッサージ
首
頚椎のアジャスト

B頚椎ヘルニア

首の痛み、肩甲骨の内側の痛みが強くでます。頚椎の背屈(水を飲む姿勢)が制限されることが多いのです。
又、手への放散痛やしびれの外、知覚障害、筋力低下も起こります。
脊髄症状を呈する例では膝蓋腱反射、アキレス腱反射が亢進し、歩行に障害が出る場合があります。
ひどい場合には膀胱障害や尿失禁をおこすこともあります。
原因としては脊髄あるいは神経根を椎間板や骨棘などが圧迫し摩擦するために発症します。@の変形性頚椎症とよく似た点が多いのです。
治療は温熱、牽引、手技マッサージ、矯正が必要です。

首
頚部神経根刺激テスト
首
アレンのテスト
首
首のマッサージ

C頚椎後縦靭帯骨化症

首の上部に違和感、肩こりなどがおこり、中年以上の男性に多い。
潜行性に進行し、階段下降に不安を感じ、スムーズに降りられず、手すりをつかむようになったり、下り坂に足がもつれたりして気づくこともあります。
これは脊髄症状のあらわれで、排尿遅延や頻尿を生じることがあります。
原因としては、脊椎椎体後面を走る後縦靱帯が骨化して脊柱管を狭くして神経を圧迫することになります。
治療としては、温熱、牽引、ソフトなマッサージが主な治療法となります。

D黄色靭帯骨化症

これはCと同様に中年以降によくみられる症状で、男女差はありません。頚肩腕部の違和感、肩こり等をおこします。下肢症状は脊髄症のあらわれでありC同様の症状が出てきます。
治療はCと同様となります。

E寝違い

意外と激しい痛みに襲われ、ふり向くことさえできないケースがよくあります。筋肉と筋膜のトラブルであり、急性腰痛(ギックリ腰)と同様の症状が、首の筋肉におこったものと考えてください。分かりやすいと思います。
原因はギックリ腰と同様で、首や肩の筋肉に疲労がたまっている前提があり、眠っている間に無理な首の姿勢があったりしたことが考えれます。思い当る理由のないケースも案外多いようです。
治療としては、温熱、マッサージが主体となります。すぐ軽快します。
ここでは主な頚の症状を6項目とりあげましたが、原因不明の首の痛みや自律神経の乱れが原因と思えるものも多くあります。例えば目の疲れ(眼精疲労)や歯が悪くても第1頚椎を中心とする上部頚椎に痛みが発現します。繊細な部位でもありますので、個人差も大変大きく、個々人のケースごとに、きめ細かく対応したいと思っています。

以 上

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肩の痛み

野球、バレーボール、ゴルフ、テニスと多くのスポーツで肩関節にまつわるトラブルは枚挙にいとまがない程多いのが現実です。そこで個々人の各症状については個別にきちんと対応しますが、ここでは代表的な疾患の原因と治療法を大まかな項目に分けて概説します。

@石灰沈着性腱板炎

原因としては、石灰が肩関節腱板に沈着することにより引き起こされる肩関節の疼痛および運動制限を主訴とするもので、これといった誘因もなく、40〜50歳代に好発することにより五十肩に含まれていましたが、近年特異な臨床症状(急性発症、激痛、夜間痛)の為に五十肩と区別して1つの独立した疾患としてとらえるようになっている。
治療法としては五十肩とほぼ同様となるので、その項御参照下さい。

A五十肩

『五十肩』という言葉は古くから用いられ誰でもよく知っている病名ですが、症状として、@特殊な原因が認めにくくA肩関節を中心に痛みがありB肩関節の運動制限、ことに上腕の拳上回転運動が制限される状態。と一般的に定義されています。
原因は種々考えられますが主なものは、腱板(肩関節を支える腱が寄り集まったもの)の炎症性硬化、肩峰下滑液包(肩関節に送る潤滑液を溜める小袋)の炎症や、上腕二頭筋長頭腱が上腕骨上端の結節間溝への癒着などがあると、考えられています。
上述した腱板・滑液包や上腕二頭筋長頭腱は加齢とともに全員に多かれ少なかれ同様の変化が生じてくるのに、なぜ一部の人々にしか『五十肩』が生じないのだろうかとの疑問に対しては、更年期によるホルモンバランスの崩れが『五十肩』発症の大きな要因ではないかと私は秘かに考えています。ホルモンバランスの大きく崩れた人ほど肩関節周囲の変性をよび、『五十肩』になると考えいます。発症年齢も50歳代に集中するのもこれで説明できると思います。

肩 肩 肩 肩
右肩関節 五十肩マッサージ テーピング

治療法としては、疼痛(夜間痛)と、筋・腱の拘縮の二大症状をとり去ることです。私は温熱とマッサージ、運動療法(操体法)をとり入れ、特に疼痛の強い場合はキネシオテープにより疼痛緩和を計っています。

B肩関節脱臼

肩関節は身体中の関節のなかで最も脱臼しやすい関節です。
前後・左右自由に動き、ぐるぐる回転できる関節は肩関節だけなのです。このことは関節がゆるく固定されていることを示し、手を伸ばしたまま転んだりすることで脱臼を生じ易いのです。自由な運動性を得る為に、強固さを犠牲にした関節といえます。
習慣性となり寝返りをうつ程度の外力で再脱臼をおこすケースもありますので、受傷後は早期の整復・固定、回復をみながらのマッサージ・運動療法が肝要です。尚、再発を繰り返すケースでは筋力トレーニングが必要です。
私は柔道大会の救護ボランティアを長年務めましたが、最近の少年、少女の柔道は練習不足から、不用意に手を突いたり、受身のまずさから、この肩の脱臼や鎖骨骨折が多くみられました。
柔道に限らず、激しいスポーツや作業を伴う労働現場ではよく遭遇する外傷です。その具体例をひとつ書きます。
私は柔道場でのタタミの上や治療台の上での整復は慣れていましたが、ある日往診を頼まれ、工場の濡れたコンクリートの上でうずくまって動こうとしない顔面蒼白の患者さんを前に私もその場に座り込んで、整復した経験があります。
肩に限らず総ての外傷性脱臼は整復と同時に患者さんの顔に赤味がさし、苦悶の表情が消えるものですが肩関節脱臼だけは特別明瞭で大きな整復音を触れることができ、麻酔もかけず、腕一本の仕事冥利に尽きる特別のものです。

肩 肩
脱臼整復法

C肩鎖関節脱臼

この脱臼は、スポーツや交通事故などにより肩峰(肩先)を打つようなかたちで横転や転落して発症する事が多い。
肩鎖関節は肩甲骨と鎖骨が肩峰で靭帯結合して形成されており軽度な場合は(捻挫や亜脱臼)テーピングや圧迫固定包帯等で治療に向かいますが、この結合している靭帯が断裂し、支持力を失って鎖骨が上に浮き上がる完全脱臼状態のケースではキルシュナー鋼線による内固定や靭帯修復・再建術等の外科手術が必要となります。

肩 肩
脱臼整復法 手術後のテーピング

Dスポーツ肩障害

スポーツでの上肢の役割は、投げる、泳ぐ、支えるなどの基本動作があるが、肩はこれら上肢活動の土台の役割を担っており、障害も受け易いのです。
(例)リトルリーグ肩
少年野球選手には特徴的な肩障害があり、投球による上腕骨近位骨端離開をリトルリーグ肩と呼んでいる。10歳から12歳にピークがあり、症状は投球に伴う肩の痛みで、症状が増強すると投球後、痛みが長時間持続するようになります。肩の疼痛部位は限局せず、急性期には肩全体から腕にかけ圧痛や熱感がみられます。
投手だけでなく内野手や外野手にも発症します。
原因は反復した投球動作によって成長期にある骨端線にストレスがかかり、離開がおこるもので、投球禁止、投球制限が必要となります。
確定診断はX線所見によります。投球再開時期の判定はX線上で骨端線の外側部に線上の仮骨陰影を認めれば再開のサインと判断できます。
全力投球の際に投球骨折といって上腕骨がラセン状に骨折をおこすことがあります。私も一度遭遇した事があります。
成長期(10歳〜12歳)の骨は軟らかく、多投すれば障害があならず出ることを知っておく必要があります。
肩の代表的な疾患5例概説しましたがこれは多くの肩関節に生ずるトラブルの内の少例であり他にも次のような症例がありますが、今回は例示するのに留め、次の機会に譲ります。

肩
肩のマッサージ

E上腕二頭筋長頭腱症候群

肩

F変形性肩関節症

G動揺性肩関節症

H胸郭出口症候群

肩

I腱板断裂

J肩インピジメント症候群

K肩の反射性交感神経性ジストロフィー

L肩関節周囲の絞扼性神経障害

Mいわゆる肩凝り症

以 上

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下肢疾患について(膝・足・外)


@変形性股関節症

代表的な例として先天性股関節脱臼があります。
原因としては遺伝性も考えられますが、自然治癒もかなりあると考えられ、後天的にクル病、栄養不良などが骨発育不全の回復を防げるケースもあります。
女児に多い。その原因は明らかではありません。
成人の場合は、変形が進行的な症状には、手術(人工関節)が行なわれます。

A大腿骨頚部骨折

老人性の骨折で自宅のタタミの上で転んで『痛くて思うように歩けない』と来院する場合が多く、大腿骨が骨盤と関節を形成するくびれた部分で骨折を起こします。手術による人工関節置換法が一般的な治療法です。

B膝関節半月板損傷

スポーツによるものが多い。近年では柔道、サッカー、スキーなど、膝の捻転運動を伴うものによくみられます。 靭帯損傷を合併することも多いのです。
自覚症状としては、受傷時に一時的にせよ患肢の使用が不能となり、血腫が溜まっています。
古傷として半月板損傷を持つ場合は、膝くずれ、膝から力が抜ける、膝折れがする、カクッとなり何かはさまっているような感じがすると患者さんからの表現があり、力が入らない、階段の昇降の困難、雑音、可動制限などもよく訴えます。

膝
半月板
膝
テーピング

他覚的症状としては、
大腿四頭筋萎縮、関節裂隙の圧痛、弾発、雑音、運動障害の順に段階を追って症状が進みます。
15歳以下の小児では、圧倒的に円板型障害(外側半月)が多く、自覚的には運動痛、膝が伸びない、音がする、びっこをひく、ガクンと力が抜けるなどを訴え、母親が筋萎縮と伸展障害に気づくことがあります。
治療としては、近年関節鏡(内視鏡)による診断と手術が行なわれています。
安静と固定による治療法や大腿四頭筋の筋肉トレーニングで治癒する場合も多いので、入院が必要ですが、先ず内視鏡による検査を受ける事が重要となります。

C変形性膝関節症

膝

老人性退行変化を膝関節は起こします。中高年の女性に多くO脚変形を呈します。温熱・マッサージ・テーピングでかなり楽になります。

D靭帯損傷

(A)内・外側側副靭帯

膝
内側側副靭帯
膝
外側側副靭帯

半月板損傷と同様にスポーツにより損傷することが多いのですが、外側靭帯は内側より強靭であり、膝は外側からの力がかかることが多いため、内側靭帯が損傷を受けるケースが圧倒的に多い現実があります。
損傷の部位は脛骨付着部断裂及び剥離骨折や中央部に起き、完全断裂のない、伸長損傷のケースも多い
完全断裂は手術が必要となりますが、伸長損傷ではテーピングや安静で治癒に向かいます。

(B)前十字靭帯

膝
十字靭帯

外反によって損傷が起こるのですが、内・外側側副靭帯と合併するケースが多い。
完全断裂すると膝が前方に引き出される動きが生じ、動揺膝となります。手術が必要です。

(C)後十字靭帯

脛骨付着部断裂が最も多く剥離骨折を伴う場合がかなり多く、完全断裂では膝が後方へ押し込まれる動きが生じ、これも動揺膝となります。

E膝関節炎

本症状は、しばしば慢性関節炎に移行し関節水腫(膝に水がたまる)に悩まされるケースが多いようです。
原因としては加齢による大腿四頭筋の衰えから関節軟骨に負担がかかったり、肥満も加わり、関節の炎症が慢性的に続き水が溜まるのです。そして歩行や屈伸運動時にコツコツ音を触れる症状があります。捻挫や打撲、オーバユース等直接に外力を受けることによる急性の関節炎の二通りがあります。
治療は、どちらもむしろマイクロウェーブによる温熱治療が効果があります。
そして必ず、スポンジパッドや弾力包帯での圧迫固定が水をひかせる最大のポイントです。(膝が曲がる程度の強さで)
外科で水腫を穿刺した場合でもその後すぐ圧迫固定を施さなければ、2〜3日で又溜まる場合が多いようです。
私はこの治療法で好成績を収めています。

膝
圧迫包帯固定

F足関節の外傷

(A)日常的に最も捻挫を起こし易い部位です。 内返し捻挫により、前距腓靭帯を過伸展させるケースが最も多い。 治療法としては冷却・高挙・安静ですが、現実には冷湿布の上からテーピング固定が一般的でしょう。

膝 膝 膝
アジャスト テーピング固定

注意しなければならない点として、この捻挫を起こす同じひねり方で第5中足骨基底部(外くるぶしのやや前下方の部分)に子餅を置いた位の腫が出る場合がしばしばあります。
これは骨折を起こしているケースがほとんどです。
この部位の骨折は、私の経験ではテーピング程度の固定で充分です。これで好成績を収めています。
骨の伸びの良い部位なので1ヶ月程度で直ります。
きちんとした診断が大切なケースです。

膝 膝
第5中足骨基底部

(B)アキレス腱断裂
これも日常しばしば遭遇する外傷のひとつで、子供の運動会で父親が徒競走に出場し受傷というケースをよく聞きます。
自覚的には、受傷時にアキレス腱を打たれたように感じることが多く、断裂音を聞くこともあります。
他覚的には、断裂部に陥没が生じ、触診すれば、指が、その断裂した部分にスッポリ入ってしまいますので診断は容易です。

膝
アキレス腱断裂

歩行は可能ですがツマ先立ちは出来ません。
以前私が丸亀武道館での柔道大会に参加していた時に、高知県の選手が試合中にアキレス腱を切りましたが、大きな音(断裂音)が柔道場内に響きました。
『足を捻挫したのか、どうもびっこをひく』と云って来院した若者は完全断裂していたのにこんな調子でした。
治療法としては、尖足位(ツマ先を伸ばした位置)ギプス固定8週間、あるいは手術による縫合固定3週間の二通りが一般的ですが、私は短期固定で早期リハビリに入れる手術をお勧めしています。
いづれにしても、アキレス腱や下腿筋を充分にストレッチし、準備運動で体を暖めてからスポーツを楽しんでもらいたい気がします。
この下肢(膝や足首)に関するトラブルはこの外下記のような例がありますが、今回は例示するに留め次の機会に譲りたいと思います。

  • オスグード・シュラッテル氏病(思春期のスポーツ少年の膝によく発症)
  • ランナー膝(マラソン選手)
  • ジャンパー膝(走り高跳び・幅跳び)
  • 肉離れ(大腿部・下腿部)
  • その他骨折・捻挫・挫傷
以 上

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上肢疾患について(肘・手首・指)

肘や手・指は日常よく使う部位である為に疼痛や変形、腱鞘炎等様々な疾患にかかりやすく、適確な診断と治療が要求されます。
一例を挙げれば、指の腱鞘炎で固定すれば楽になるのは分かっていても、手を使う職業で、水仕事もあれば、固定はむつかしい選択となってしまいます。
美容師、調理師さん達には手や指の固定はむつかしく、ひどい突き指や、骨折でもあれば休業せざるを得ません。
そんな現実を考えながら、いかに疼痛を減らし固定をスマートに、そして早い治癒を得るかに腐心する毎日です。
この上肢は骨折もよく起こします。今回は具体例に触れませんが、骨折の場合は特に固定とリハビリが重要になりますので是非ご相談ください。

以下に日常よく遭遇する具体例を挙げ、原因や症状そして治療法を述べておきます。

@上腕骨外顆炎(テニス肘)

テニスの選手によく発症する為にこの名がありますが、手をよく使う職業の人すべてに発症し、この痛みを訴え来院する患者さんも非常に多い疾患です。
症状は、肘の外側の顆(ふくらみ)に、タオルを絞る、水道栓、ドアのノブを廻す等の動作で痛みが増し握力の低下を招きしばしば、夜間痛や安静時での放散痛が拡がります。
治療法は、レーザー光線の照射、マイクロウェーブによる温熱を行ない、指、前腕筋、肩等の腕をとりまく一連の筋肉群へのマッサージとテープ固定が中心となります。
痛みの中心である外顆部そのものは前腕筋が腱となって骨にくっついた部位なので、押したり、揉んだりしてはいけません。余計痛みが増しますから。

手

A狭窄性腱鞘炎(de Quervain)

中年以降の手をよく使う女性や、初産の若い母親に多く、症状は母指を動かす腱が母指の付け根から手首付近の、狭いトンネル内で炎症の為に動きが制限されたり疼痛を発症する状態を指します。 治療法は、レーザー、マイクロウェーブ、母指、手首にかけてのテーピング固定とマッサージで@のテニス肘とほぼ同じです。 これも発症例の非常に多い疾患です。

手
疼痛の発現
手
 

B上腕骨内顆炎(野球肘)

内顆(肘の内側のふくらみ)に疼痛を訴えるもので、カーブを多投することによる野球肘や、ゴルフ肘と呼ばれるものがあります。頻度は外顆炎よりずっと少なく、治療法は外顆炎と同じです。

C離断性骨軟骨炎

肘周辺の痛みを特に、運動時に訴える。初期は局所の安静で軽快しますが、痛みの程度により段々肘関節の動きは悪くなってゆきます。
上腕側の骨片が剥離し関節ねずみになりこれが、嵌頓(ひっかかる)すると、激痛のため肘は全く動かせなくなります。
野球、テニスの選手に多く発症し、最近とくに注目されているのは、リトルリーグの少年野球選手(投手)に本疾患が多いことです。
治療法は、マイクロウェーブ温熱、テーピング、安静であり、過度の運動はしないことですが、遊離して関節ねずみとなった場合は症状に応じて外科的に、摘出手術が必要となります。
肘関節のトラブルのあらましにふれましたが最も頻繁に、そして繊細且つ力強く動く指のトラブルに移ります。そしてこの項も、この指のトラブルで最終項となります。

@突き指

一口に突き指といっても、指の関節捻挫もあれば骨折もあります。
注意すべき点について述べます。

(A)指関節の捻挫

腫脹や運動制限・皮下出血があります。
脱臼してロックがかかって、全く動かない状態でなければ、指を引張らない方が回復が早いです。

(B)脱臼

じっくりと牽引していれば、コツと音が触れ整復できます。それから固定すれば良いでしょう。

(C)腱断裂(マレットフィンガー)

指を伸ばす腱が爪の下まで伸びていて、野球やバレーボールで爪の方からボールに当たるとそこで腱が切れ、指の末節関節(指先の関節)が曲がったまま伸ばせなくなります。

手
伸筋腱断裂

痛みはあまり強くなく、腫れも出ませんので放置するケースが多いのですが、もうその指は二度と伸びることはありません。

(D)骨折

(C)の腱断裂の時、指の骨の一部を剥離して腱は切れずに骨の一部が剥離骨折をおこすケースもあります。この場合は腫れも痛みも強くでますが、きちんと固定すれば指は元通りに直ります。

Aヘベルデン結節

手

症状
指の末節関節に当初疼痛、腫脹、発赤を認めますが、徐々にこれが収まって、その後結節変形が残ります。

原因
閉経後の女性に多いことから女性ホルモンの減少が原因と考えられます。 しかし、罹患者の多くは母親もこうなっていたという場合がほとんどで、遺伝的要素も考えられます。

リウマチ結節と見た目には似ていますが、初期にしか疼痛がない事から全く別のものです。 血液検査でもリウマチ反応は出ません。

Bバネ指

症状
指の屈伸運動時にひっかかり動きが制限され、それでも力を入れるとコクンという音を触れて、ひっかかりがとれ指が動き、その時疼痛が伴います。
これも閉経後の女性に多く、総じて指をよく使っているケースがほとんどです。薬指・母指によく起こります。

原因
指の屈筋腱がスムーズに滑らず腱の腫れが原因となります。
腱鞘炎とほとんど同じケースです。
狭窄部を肥厚した腱が滑っていく時にひっかかり、無理に通過した時にコクンという音を触れる訳です。

治療
レーザ、マイクロ、安静の為のテーピングという基本的治療が中心となります。

手
テーピング

C手のリウマチ

症状
朝のこわばりのほか、疼痛、腫脹が認められる。
腫脹は掌側よりも背側に明らかなケースが多い。
手背側の腫脹に注意し、尺骨遠位端が脱臼している場合もあり、炎症が活動期にあれば、触診すれば、その部位で熱感があります。
進行すれば、スワンネック変形(白鳥の首のように曲がる)やボタン穴変形などがおこります

治療
温熱とごくゆるやかなマッサージが良いのですが、何とか良くなってもらいたい一心で熱心にマッサージなどすれば、過剰刺激となり疼痛が増すことになりかねませんので、充分すぎる程の注意深さが必要です。

D手根管症候群

症状
本疾患はバネ指、狭窄性腱鞘炎と並んで、多く発症します。
母指より薬指橈側1/2にかけて手指掌側に痛み、しびれ、知覚の障害や異常を主訴とする症状ですが、これは正中神経の支配域であり女性の方に多く、40〜60歳に集中しています。
手を使うと痛みは増大し、夜間痛は焼けるように痛み、手を振ると軽減します。
疼痛は前腕、肘、肩へ放散することもありますが、知覚関節は手関節までに留まり、中枢側には起こりません。
進行すると母指球がやせてきます。
夜間痛は静脈還流の不良の為と考えられています。
手根管部(手首の掌側の狭い部位で神経や腱の通りみち)を指尖で叩打すると母指、示指、中指へ痛みが放散する。
手首を屈曲位に保ち30秒〜1分間手根管を圧迫する肢位を保つと、症状が再現し、95%に陽性が出るというデーターがあります。

原因
手根管で正中神経が圧迫、絞扼されるためですが、誘因として、職業的な手の過度使用、急性外傷、ガングリオンなどが考えられますが、原因不明で発症する場合も多いようです。

治療
原則として手根管を開くように手関節を背屈させる肢位をとるようにして、レーザー、マイクロウェーブ等の温熱とマッサージが有効です。
その他、下記の疾患が考えられますが症病名記載に留め、概説は次回に譲ります。

E回内筋症候群

F回外筋症候群

G肘部管症候群

H糖尿病による手の神経障害

I石灰沈着性腱周囲炎

Jデュプトレン抱縮

Kレイノー病

L月状骨軟化症

参考文献 岩破康博      
  藤木孝雄  共著 『頚肩腕障害の診断と治療』
  鈴木勝己      
  渡辺良   共著 『整形外科外傷ハンドブック』
以 上

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